オオタカってどんな鳥??
1. 外見的な特徴 | 4. 食性と採餌環境 |
2. 分布 | 5. 生息環境 |
3. 生態 | 参考文献 |
体長はオスで約47〜52.5p 平均約50p、メスで約53.5p〜59p 平均約56.5p、翼開長(よくかいちょう)(翼(つばさ)を広げた幅)約106〜131pぐらいの鳥で、トビよりやや小さくて、オスでハシボソガラスぐらい、メスでハシブトガラスぐらいの大きさです。一般的に猛禽類(もうきんるい)はオスよりもメスのほうが大きいです。白い眉斑(びはん)と太くて黒い眼帯(がんたい)と黄色またはオレンジ色の目が特徴的(とくちょうてき)です。
成鳥は頭が黒く、背から尾にかけて暗青色(あんせいしょく)ないし黒灰色(こくはいしょく)、または暗褐灰色(あんかつはいしょく)でメスでは上面に褐色みがあることが多い。体の下面は白またはバフ白色で前頚(ぜんけい)、胸、腹、脇、脛毛(すねげ)には黒または黒灰褐色(くろはいかっしょく)の横斑(おうはん)が密にあります。
幼鳥(ようちょう )は頭上が暗褐色(あんかっしょく)または黒褐色(こくかっしょく)で、後頚(こうけい)以下、体の上面はやや淡い暗褐色(あんかっしょく)で、顔は淡褐色(たんかっしょく)で黒褐色(こくかっしょく)の縦斑(じゅうはん)に覆(おお)われます。眉斑(びはん)は淡バフ色またはバフ白色ですが暗褐色(あんかっしょく)の小縦斑(しょうじゅうはん)に覆(おお)われ、眉斑(びはん)がほとんどない個体も少なくありません。体の下面は黄褐色(おうかっしょく)またはバフ白色で、暗褐色(あんかっしょく)または黒褐色(こくかっしょく)の明瞭(めいりょう)な縦斑(じゅうはん)があります。目のまわりは黒く、目は、巣立(すだ)ち直後では淡緑灰色(たんりょくはいしょく)ですが、秋までに黄色になります。
オオタカは、アラスカ、カナダ、スカンジナビア、シベリアの森林限界(しんりんげんかい)近くから、アメリカ大陸では、カリフォルニア、メキシコ北部、ペンシルバニアまで、旧大陸ではモロッコ、サウジアラビア、イラン、チベット、日本までの北半球の広い地域に分布(ぶんぷ)しています。
日本では主に関西以北で繁殖(はんしょく)が多く確認されていますが、越冬期(えっとうき)には西日本も含め全国的に分布しています。
オオタカは、一夫一婦制(いっぷいっぷせい)といわれており、つがい関係は少なくとも繁殖期間中(はんしょくきかんちゅう)は維持(いじ)されます。わが国のオオタカは留鳥(りゅうちょう)といわれていますが、一部の個体は非繁殖期(ひはんしょくき)に移動すると推定(すいてい)されています。
求愛期(きゅうあいき)は早いものでは1月に始まり、本格的な巣造(すづく)りは3月で、4〜5月頃産卵します。孵化(ふか)は5〜6月頃で、幼鳥(ようちょう )は6〜7月頃に巣立ち、早いものでは8月中に独立し分散します。しかし中には、秋冬期(しゅうとうき)も親鳥の行動圏内(こうどうけんない)に留(とど)まっているものもあるようです。
採餌方法(さいじ ほうほう)は、主に林縁(りんえん)の枝にとまって待ち伏せし、獲物(えもの)の背後から急襲(きゅうしゅう)するほか、ハヤブサのように上空から急降下(きゅうこうか)して襲(おそ)うこともあります。林内では、樹冠(じゅかん)よりも下層部で採餌(さいじ )を行なう傾向(けいこう)が強いようです。また林縁(りんえん)から 200m以内の森林内が好適(こうてき)な生息環境(せいそくかんきょう)といわれ、採餌(さいじ )の多くがそこで行われていたとの報告もあるそうです。
主(おも)な採餌内容(さいじ ないよう)は、ドバト(レースバトを含む)、ムクドリ、カラ類(シジュウカラなど)、カケス、カラス類、キジバト、キジ、ヒヨドリ、クロツグミなど鳥類が90数%を占めていて、リスやネズミなどの哺乳類(ほにゅうるい)は残りの数%で、例外的にヘビ類がまれにあるようです。
日本では行動圏(こうどうけん)について正確な調査は行なれていないが、ひとつがいづつを対象にした調査した記録では、行動圏の大きさは、数百〜1,000ha以上と推測(すいそく)されています。
採餌環境(さいじ かんきょう)から、オオタカの生息環境(せいそくかんきょう)は広大な森林の続く環境よりも森林とオープンランドがバッチ状に存在する環境の方が好ましいと考えられています。また、成熟(せいじゅく)した森林や大きな森林バッチで採餌(さいじ )を行なう傾向(けいこう)が強いことから、壮齢林(そうれいりん)からなる林を大きなかたまりで残すことも重要(じゅうよう)といえます。
日本では、海岸付近のクロマツの防風林(ぼうふうりん)から海抜(かいばつ)1,000m前後のアカマツやモミの混じる二次林(雑木林(ぞうきばやし))、アカマツ林、カラマツ林、スギ林等で繁殖(はんしょく)しています。しかし、その多くは海抜(かいばつ)500m以下で、平地から丘陵地(きゅうりょうち)、低山がオオタカの主な繁殖地(はんしょくち)と考えられています。東京近郊(きんこう)では、農村地帯に点在(てんざい)する雑木林(ぞうきばやし)でも繁殖(はんしょく)しています。
営巣環境(えいそうかんきょう)としては込み入った林より、林内に空間が広がる林を好むようです。
生息数(せいそくすう)については、1993年の聞き取り調査によりますと31都道府県から繁殖(はんしょく)の情報(じょうほう)を得ているそうです。そして全国では数千羽は生息(せいそく)していると見られておりますが、実際の数は明らかではありません。
地域によっては開発等による生息環境(せいそくかんきょう)の変化(悪化)や密猟(みつりょう)によって生息状況(せいそくじょうきょう)が悪化していると言えます。また過去の雛(ひな)に関する巣立ちの状況等の調査によっても、繁殖状況(はんしょくじょうきょう)は全体としてゆるやかに悪化していると推測(すいそく)されています。
以上は 『猛禽類保護(もうきんるいほご)の進め方 (特にイヌワシ、クマタカ、オオタカについて)』環境庁自然保護局野生生物課編
発行 財団法人 日本鳥類保護連盟
『図鑑 日本のワシタカ類』 著者 盛岡照明・叶内拓哉・川田隆・山形則男 発行 兜カ一総合出版
を参考にさせていただきました。