Question 1: どのように保護していますか?


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オオタカは美しく気品に満ちた勇壮(ゆうそう)なタカで、古来(こらい)鷹狩(たかがり)に見られるように大名クラスの貴重(きちょう)な愛玩物(あいがんぶつ)として珍重(ちんちょう)されてきた鳥です。現在では東京の西多摩地域では、200m〜1,000m未満程度の丘陵部(きゅうりょうぶ)に広がる雑木林(ぞうきばやし)がオオタカの生息地(せいそくち)となっていて、丘陵地(きゅうりょうち)を形成する谷地(やち)やそこに広がる谷津田(やつだ)が、植物や昆虫たちを含(ふく)めて野生動植物の多様性(たようせい)を保(たも)っています。このような環境を里山(さとやま)といっており、オオタカはそれら生物の食物連鎖(しょくもつれんさ)の頂点にたつ動物として生息(せいそく)しています。このような環境を人とオオタカは共有(きょうゆう)し、その環境で共生(きょうせい)してきました。

人は今、この里山(さとやま)を放棄(ほうき)しつづけてきました。開発という名の下(もと)に経済効率(けいざいこうりつ)が悪いという名のもとに、雑木林(ぞうきばやし)の山は削(けず)られ、谷地(やち)は埋め立てられ、姿を消しつつあります。オオタカも生息(せいそく)や繁殖(はんしょく)の場を奪(うば)われ、まさに絶滅(ぜつめつ)の恐(おそ)れに直面(ちょくめん)しています。

東京オオタカ保護連絡会では2000年の総会で下記の行動と目的を掲(かか)げ実行しています。

A オオタカの生息環境(せいそくかんきょう)の整備
* 多摩地域のオオタカの生息数(せいそくすう)・繁殖(はんしょく)調査
* 土地所有者への働きかけを行いオオタカの生息域(せいそくいき)の保全
* 営巣環境(えいそうかんきょう)管理活動―民有地の草刈や、下生(したは)えや枯(か)れ樹木(じゅもく)伐採(ばっさい)の手伝い
* 自然公園の保全対策と林床整備(りんしょうせいび)のマニュアル造りの要望(対役所)
* 他団体との話し合い情報交換(じょうほうこうかん)と調査行動調整(ちょうせい)

 

B オオタカの法的処置
* 東京における自然の保護と回復に関する条例の改正について、オオタカおよび猛禽類(もうきんるい)の位置付け
東京オオタカ保護連絡会(ほごれんらくかい)として意見書の提出

*  密猟対策(みつりょうたいさく)
東京都が把握(はあく)している密猟者(みつりょうしゃ)の対策と実施要請(じっしようせい)
西多摩営巣地(えいそうち)パトロール体制・営巣地(えいそうち)調査を兼ねて随時(ずいじ)見廻り

* 各開発計画に対し要望書等(ようぼうしょとう)の提出や提言、および計画に対してモニターとウォッチ
都環境局や開発事業者等へ適宜(てきぎ)提出を行う

 

C 他団体のオオタカ保全活動の支援(しえん)

* 長野県『環境会議(かんきょうかいぎ)・諏訪(すわ)(カシガリ山)』の調査支援(しえん)
* 小金井公園の大鷹(おおたか)を守る会への支援(しえん)

あきる野市に残る横沢入(よこさわいり)という谷戸(やと)は、動植物をはじめ昆虫なども豊富なところで、そこに都の秋留台(あきるだい)開発構想に伴って、住宅需要(じゅよう)を見込んだJR東日本が住宅地の開発計画を起こしました。しかしこの横沢の森にはいわゆる種の保存法(絶滅(ぜつめつ)の恐れある野生動植物の種の保存に関する法律)により『国内希少動植物種(きしょうどうしょくぶつしゅ)』に指定されたオオタカが営巣(えいそう)をしている場所だったのです。オオタカ保護連絡会(ほごれんらくかい)からは都にオオタカの営巣(えいそう)を知らせ、都の指導(しどう)もあってJR東日本鰍ヘ調査会社をいれ調査をし、また横沢にかかわってきたムササビの会などの多くの人たちと共に、東京オオタカ保護連絡会のメンバーもボランティアとして、独自(どくじ)にオオタカの生息および行動等(こうどうとう)の調査を1997年から行ってきました。そしてJR東日本渇。沢入地域オオタカ保護方策検討会(ほごほうさくけんとうかい)にも、会から代表の尾崎氏が、他に西多摩自然フォーラム代表の久保田氏が加わってJR側の報告と別に独自(どくじ)の調査内容を参考資料(さんこうしりょう)として提出(ていしゅつ)もしています。まだ正式な表明(ひょうめい)ではないのですが、2000年5月10日に石原都知事が現地を視察(しさつ)し「ベッドタウンにするという発想(はっそう)はもう古い」との考えを示し住宅開発自体(かいはつじたい)を再考(さいこう)すべき段階にきていることを示唆(しさ)されたとのことです。その結果住宅開発(じゅうたくかいはつ)が中止されそうな動きで進んでいるといえます。

その他の開発計画の影響(えいきょう)への対応は、

(1) 都立羽村(はむら)草花丘陵(くさばなきゅうりょう)自然公園環境の保全・管理面(かんりめん)での行政協力。
(2) 西多摩霊園(れいえん)稲足(いなたり)神社墓地拡張(かくちょう)工事のモニター。
(3)圏央道(けんおうどう)菅生(すがお)トンネル排気塔(はいきとう)工事のモニター。
(4)日の出が丘病院第二期工事のモニター。
(5)秋川南岸(あきかわなんがん)道路五日市トンネル工事のモニター。
(6)小宮地区住宅建設工事のモニター。
(7)日の出川北開発計画のウォッチ。
(8)横沢入(よこさわいり)開発計画のウォッチ(上記記載(きさい)の件)。 など

様々な場面で、オオタカの営巣地(えいそうち)に関わる問題について、いち早く情報(じょうほう)を入手しそれらに対して反対するだけでなく、法に則(のっと)った手続きや、影響(えいきょう)を少なくすべき手段等についての、行政(ぎょうせい)や開発事業者へいち早く提言(ていげん)するようしています。



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