東京都知事
石原 慎太郎 殿

2002年7月6日
東京オオタカ保護連絡会

代表 尾崎 洋



永山北部丘陵住宅開発事業認可に関する東京都の見解に対する意見書


 私ども東京オオタカ保護連絡会は、東京都の指導により開催された永山北部丘陵開発事業における猛禽類調査検討会に猛禽類専門家として参加してきました。この会議は、種の保存法に基づく「猛禽類保護の進め方」に記載された、「計画地内(都の指導指針では350m以内)に営巣木未確認の場合は、専門家の意見を聞き判断」の指針に従い東京都の指導により設立されたものであります。
 東京都、事業者が同席したこの会議において、東京オオタカ保護連絡会が専門家として述べた意見に以下の5項目があります。


1、本年度の営巣は、計画地内部では行われず隣接地において行われた。

2、計画地が生息個体にとって必要不可欠な場所である可能性が高い。

3、保護方策の検討にあたっては、内部構造の把握(2営巣期)等更なる調査が必要。

4、許認可の判断は、東京都および規制部会でなされることでこの検討会ですることではない。

5、今後の調査如何によっては、計画地が営巣中心域にかかわる可能性もあり計画の抜本的見直しが必要となることもありうる。

  これを受けた上で出された事業者のオオタカ保護方策に対し、東京都は6月25日行われた第15期自然環境保全審議会規制部会において以下の見解を示しています。

1、350m区域には営巣がないことから許認可。

2、許認可後もう1営巣期平行して調査を行うよう指導。

3、工事施行中に調査を行う。この判断はやむをえない。

 東京都のこの見解は、都自らが法に基づき指導・参加した会議の意見を反映したものとは考えられず、会議に参加した私たち専門家の意見を無視した冒涜行為と受け止めています。

東京都知事に対し、以下の3点についての文書による回答を7月18日までに要請いたします。

1. 都の見解によると350m区域には営巣がないことから許認可するとあるが、猛禽類保護の進め方では、専門家の意見を聞き判断するよう記されている。営巣がないことから許認可するのであればこの会議自体が意味をなさないものとなる。いかなる目的によりこの会議を指導したのか、その目的を問う。

2. 従来の調査において、計画地は周辺に生息するオオタカによって狩り場や解体場など高利用域として利用されている。さらに今後の調査如何によっては計画地が地形的改変のできない営巣中心域にかかわる可能性もあり、計画の抜本的見直しが必要となることもありうる、との専門家意見がこの検討会において出されている。将来、計画が白紙撤回される可能性がある事業に対し、現時点で許認可しようとする意図を問う。

3.  猛禽類保護の進め方によると都道府県の自然保護、鳥獣保護部局は、猛禽類保護の中心的役割を担うことが求められている。許認可を下すのも都であれば、適切な猛禽保護対策の指導を行う役割も都にある。計画の抜本的見直しが必要となった場合、事業者への適切な指導を行うべき監督者として、及び事業の許認可件者として、如何にして責任を取るのかを問う。

連絡先                
東京オオタカ保護連絡会    
永山北部丘陵猛禽類調査担当
田中 希      


back