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ホタルの形態と生活史



 ホタルは昆虫網鞘翅目に属し、カブトムシと同じ仲間だから,前翅が硬いさやばねになっている。頭部,胸部,腹部に分かれ、さやばねの下に透明な後翅がたたまれている。頭部には口器、複眼,触角などを備え,胸部には3対の肢を有している。発光器は♀,♂各、腹部6節、6および7節にあるが,昼間飛翔するホタル類ではほとんど消失するか,点状に1対残さているに過ぎない。


ゲンジボタル

形態 

 体長はメスでは18mm、オスでは15mm前後。体は黒色だが前胸背は淡赤色で黒い十字の紋がある。♀♂の発光器は各、第6腹節、6および7腹節で,淡黄色である。卵は直径0.5mm前後で淡黄色球状である。孵化幼虫は体長2mm前後で腹節にえら器官がある。終嶺幼虫は黒褐色で体長20〜30mmあり、♀の方が大きい。ヘイケボタルの幼虫とは体の大きさと前胸背の紋が相違するので区別できる。蛹は体長10〜20mm、乳白色だが、羽化間近になると次第に複眼、肢などが黒化する。蛹は成虫と同様な発光黄を有している。

生活史

 5月下旬より6月に発生した♀成虫は、交尾後、川岸のコケなどに500個前後(多いときは1000個近く)の卵を産付する。交尾、産卵後、間もなく成虫は死亡してしまい、10日間余りの短い寿命である。卵は約30日後の6月下旬から7月にかけて附加する。生まれたての小さな幼虫(孵化幼虫または、1齢幼虫)は水際にはっていき水中に入る。幼虫は水中でカワニナを摂取し、短くて10ヵ月、長い場合、2年間も水中生活を送り、終齢に達すると4月中旬の雨の降る暗夜に川岸にはい上がって潜土し、土まゆを造る。幼虫はこの土まゆの中で蛹化し、約50日後に羽化する


ヘイケボタル

形態

 体長は♀では10mm、♂では8mm前後、体は黒色だが、淡赤色の前胸背板中央に太く黒い縦条がある。発光器は♀では第6腹節、♂では第6,7腹節にあり、ゲンジボタルと同様である。卵は前種より少し大きく0.6mm前後、乳白色球状である。生まれたての幼虫はゲンジボタルにとても似ていて、両者を区別することは困難であるが、2齢以上になると前胸の紋が黒い十字に変わり、ゲンジボタルの幼虫と簡単に区別できる。終齢幼虫は体長17mm前後、黒褐色で腹部にえら器官がある。蛹は体長10o前後、淡黄色で成虫とほとんど同様な発光器を有している。

生活史

 ゲンジボタルより発生が遅く6月から8月にみられるが、例外的に9月や10月に発生することがある。交尾後、♀は水田の用水路水際に生えているコケなどに50〜100個の卵を産付する。卵は約1ヵ月後に孵化し、生まれたての幼虫は水中へ入る。この幼虫はヒメモノアラガイやカワニナなどの淡水棲巻貝を食餌として、翌年の5~7月まで水中生活を送り、充分生育すると終齢幼虫に達して水際の岸にはい上がり、土まゆを造る。この土まゆは数cm下の土中に造られることもあれば、地表に造られることもある。約30日後に羽化するが、上ばねが硬くなるまでしばらく土中にいる。

(参考文献 ニューサイエンス社 ホタルの観察と飼育)





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