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 まず図には個体数のほか,調査を行った日付,天候、気温、水温(水温は成虫が出現した日まで)が記してある。

横沢入でのゲンジボタルの上陸は、4月の下旬から5月中旬頃まで確認できた。両年とも、5月下旬頃の比較的気温が高い、小雨のときに最も多く発見された。

 成虫の出現期は、6月中旬から7月の中頃までで、下旬になると確認できなかった。ピークは,6月中旬から7月上旬までで、月の出ていない曇り空の日が多く確認できた。

 単純に数だけを比べるなら00年の合計が165、01年の合計が234だった。さきほど説明したとおり時間帯などの問題などを差し引いても、多少の数の変化は合ったように思われる。

目次
気温・水温と個体数の関係
横沢入各谷戸の終齢幼虫個体数の変化
環境要素毎に見た終齢幼虫個体数の変化
 上陸地点と植生との関係
 上陸地点と土壌状態の関係
各谷戸の成虫個体数の変化


気温・水温と個体数の関係




横沢入各谷戸の終齢幼虫個体数の変化


 谷戸別に確認した数を比べてみると,草堂の入り以外はあまり大きな変化はなかった。

 
 他の谷戸で毎年確認できた、宮田西,東、下の川は,2匹から5匹ぐらいとあまり数の変動はなく,谷戸の環境の変化もあまりなかった。

 
 草堂の入の幼虫の数を見てみると、00年に確認したのは5匹,01年では20匹だった。

 草堂の入りでの数の変化は,いくつか考えられることがある。維持管理での水路の復元とそれによるカワニナの生息域の拡大だと思われる。

 99年には倒木や砂利などの沈殿により水路はほとんど崩壊しており、かろうじて残っている水のたまりにカワニナは生息していた。その後の水路の復元により徐々にではあるが水路全体に大小様々のカワニナが定着してきた。その他には倒木の整理や水路周りが歩きやすくなったのもあり発見率が上がったように思える。これらのことを考えると水路の復元は少なからず影響は出ているように思う。








環境要素毎に見た終齢幼虫個体数の変化


 このグラフは,上陸を確認した場所を円グラフに表した。水路や土手、畦などの項目には幼虫が確認された状態別に、それぞれ振り分けた。まず、水路の項目には水から出てきたばかりの個体を数として入れている。土手は水路からかなり離れた場所で確認された個体が入っている。尚、シロの部分は放棄されていてかなりの時間が経っているので,シロの中に細い流れができており、そのようなどちらともいえない場所で確認された個体はシロの項目に入れた。

 グラフを見てもらえばわかると思うが,両年ともほとんど水路で確認された。01年には土手の部分でも多く見られ、その場所では水路から2mほど上にあがった場所でひかっていた。


上陸地点と植生との関係

 今回の調査で、植生のデータを取ったが調査員が余り植物に詳しくなく、密に生えているか、それともあまり生えていないかなど植生とはいえない単純なものになってしまった。

 それでも、まったくデータとして使えなくはないので解説はしていきたいと思う。まず、グラフに書いてある低草だか、ミゾソバ以外の、1m以下の植物のことを表している。

 確認した個体は,低草が疎の部分と、密であった部分と半々ぐらいだった。もちろん植物が少ないほうが見つけやすいのだが、水路脇のかなり成長し密生している場所でも光っているのを見つけると,かえって人が入りにくいそのような場所のほうが幼虫には良いのではないか(?)などと思ってしまった。


上陸地点と土壌状態の関係


 このグラフは,発見したときの土の状態を表した図である。00年で田土が多いのは、維持管理作業が終わって間もないときでまだ水路まわりの土が柔らかかったからである。作業を行わなかった場所では、ドロや砂利の混じった土が多く、土としては硬めのものが多かった。01年で硬めの土が多いのは環境要素で土手の部分が占めているからである。



各谷戸の成虫個体数の変化


 グラフを見てもらうと各谷戸、全体的に飛んでいると思われる。(荒田の入り、釜の久保は調査する時間帯が遅くなるため確認が少ないように思う。)やはり安定して見られるのは、草堂の入りと下の川であろう。調査しての印象だが、ある程度水路が安定している谷戸では多く確認できた。そのほかには、00年に復元した中央下の水路では,次の年の01年に水路のすぐ横に出土したばかりの成虫を発見し,飛翔していた数も多くなっていた。


 最後に宮田東の数を見ていただきたいのだか、明らかに数のひらきがあるのがわかる。この谷戸を見るのは20時半過ぎで、土手から見ると飛翔している数が少なく見えてしまうが、実際には土手下の草の中で多く光っていた。00年にはそれに気付かず、飛翔していた数だけを記録してしまった。そのために、このような数のひらきができてしまった。調査としては大きなミスをしてしまい大変反省している。





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