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水生ホタル保全への提言
     (考察)

 今回の調査をまとめてみて、わかったことや疑問点などを挙げてみるとこの様になった。現在各地で行われている水生ホタル類保全の活動のわずかでものの参考になれば幸いです。

目次
ゲンジボタル
 ヘイケボタル

ゲンジボタル

 まずは調査結果の方でもふれたが、草堂の入りで確認した上陸幼虫の数の変化である。水路の復元を行って一年間で餌となるカワニナが水路全体に見る事ができ、年間を通して水が流れるようになった。(復元前は、水路の崩壊が激しく埋まっている所や、水がない場所が多くあった。)たにもカワニナの餌となる落ち葉などが水路にたまっていたり、幼虫の隠れ家となる小石や砂利などのある場所もできた。


 草堂の入り以外では、中央下の復元した水路でもカワニナが見られるようになり出土したばかりの成虫を確認するなど目に見える変化では、水路の復元はゲンジボタルにとってはプラスのほうに向かったように思える。

ゲンジボタルが生育するのに適した環境とは、

     年間を通して安定した水量がある環境

A     餌となる大小様々な大きさのカワニナがいる場所

B     水路はドロの状態だけではなく、小石や砂利など幼虫の隠れ家となる場所がある環境

C     水路横の雑木林の斜面等のような植物が生え、人が歩きにくい場所(上陸ポイント)

D     産卵に適したコケなどのある環境

など、他にも多くあると思うが今回の調査でみてみるとこの様になった。



ヘイケボタル


 ヘイケボタルはゲンジボタルより調査が難しく(環境への影響、上陸の判別、餌となる淡水棲貝類の調査など)データとしても考察しにくいものもあった。しかし、疑問点やわかったことも多くあったので、そのあたりを書いていきたい。


 宮田西は、三年間環境の変化が余りなく、幼虫の数もほとんど変わることがなかった場所である。この谷戸では、春になるとセリが多く生え湿地状態も年間を通じて保っていた。


 三年間の調査で、横沢入りで生育しているヘイケの幼虫の場所はある程度把握することができた。幼虫確認した場所を地図に印をつけていく調査だったが、それを見ると生育している場所に大きな変化はなく片寄っていた。簡単にいうと似たような環境でもいる場所といない場所がハッキリしていた。似たようなというのは、あくまで見た目で同じミゾソバや低草が密に生えているのに、確認できた所とできなかった場所があったということである。何が違うのかと観察してみたところ、調査結果の方でもふれたが地表状態が全く違っていた。田土には違いはないのだが、確認できた場所では地表がしっかり見えているのに対し、確認できなかった場所では枯れた植物などが積もっている状態だった。当たり前の事だか幼虫や淡水棲貝類が生育するのにどちらが良いかといえば、地表が見えているほうだと思う。00年に草堂の入りの、シロの部分に積もっていた植物を退かした場所がある。その場所では少しではあるが、幼虫が生育しているのを確認できた。他にも色々な事が考えられると思うが、今回の調査で一番引っ掛かっていたのがこの事である。この様なことがわかった所で、大した事ではないと思われる方も多くいると思われるが自分にとってはこの疑問点がホタルの身になって考えたコトである。

 話が横道に逸れてしまったが、今回の調査でヘイケボタルが生育していた環境はどのような場所だったか挙げてみた。

     年間通して湿地状態を保っている環境

A     枯れた植物が積もってなく地表が見えている環境

B     淡水棲貝類が生息できる環境

など、余りはっきりとしたデータはとることができなかった。それでも成虫の数が多く確認されたのには、何らかの環境の影響があったように考えられる。


 水田を生活する場所にしているヘイケボタルはゲンジボタルより環境の変化に敏感で、湿地の乾燥化が進むと数が激減してしまうので今のうちに早めの対策が必要であろう。




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